らんの花

nae586252018-04-15

四月も半分が過ぎて、週末は雨が降る。土、日が雨だと家人は山に芝
かりじゃない絵を描きに行けないとうるさい。知らないよ
年金を出してきてと母親に頼まれて、実家へ通帳とカードがテーブル
の上に置いてあるのを持ち銀行まわりお金を出してまた戻る。こんだ
けお金があれば何も困らないだろうと思うが、母親はお金が無いと言い
それこそどの口が言うだ。誰もいない実家で庭にでてみると、大分もう
枯れかけている。父親は植木や花を咲かせるのが今や唯一の楽しみ
だった。今のマンションを選んだのも割に広い庭があったから。その
草花がしおれてきている。しかし水をやればまだ持つだろう、明日は
雨だし。らんの花が咲いているのをひとつ切り持って帰った。
実家に長い時間いてじっとしていると気持が落ち込みそうになって苦しい
いつも座っている大きな椅子に座っているような気がしてくるんだよ。
その父不在の部屋に入ると本棚があり、池波正太郎の本が並んでいた。
どれか一冊持って帰ろうかとも思ったが、まだ生きているしらんの花
だけ持って帰ったな。
病院には母親と大阪から親戚のおばさんが二人来て今日は機嫌よく話して
いたと夜に電話がある。病院へ花を持っていこうかと思った。
土曜は、少し落ち込みもマシになりひとりで出かけて本屋をうろうろ。
J堂でこの頃余り買わなくなった「本の雑誌」を買う。作家のカンヅメ特集
本を見ていて、そういえば阿川佐和子さんは子どもの頃に父親の阿川弘之
の友だちの吉行淳之介が家によくコイコイをしにパジャマ持参で来ていた
のを本に書いているな。始め、小説のためにコイコイをしたことが無いの
で吉行に教えてくれと頼み、それなら実際にした方が覚えると車で吉行家
に来て、やりだしたのが大ハマりで連日コイコイしに深夜まで帰らない。
その時、長編を書きあぐねて原稿を書くのに困っていたし毎日家に来られて
コイコイし負けて湯沸かし器みたいに頭から湯気をだして怒る阿川弘之
(すごく怒りぽかった)に翌日の朝、今日は十時まででやめよう。と指切り
をして約束した。が、負けて頭がカーッとなり夜十時になってもやめない
指切りしたじゃないかと言うと、突然立って台所へいき出刃包丁を出して
指を切ろうとして、切りゃいいんだろ!と怒ってまたコイコイをした。
それを呆れて書いたのが「軽薄のすすめ」にある。子どもには大変厳しく
うるさい父親だったと阿川佐和子さんは話していた。コイコイは花札でする
博打である。海軍にいた阿川氏はかなり負けず嫌いだったんだろな
吉行淳之介と平成元年に佐和子さんは対談している、淳さん六十四才で
座談の名手の昭和と平成の代表のようになると二人とも思わなかっただろう。