カレーパンひとつ

いきなりキンと寒い日になって、甚だ体が動かない。もうカウント
ダウンが始まっていると言うのに、気がつくとつい昼から布団に
入り、ウトウト寝ている。だって寒いのよね。
吉行全集を寝ながら読んでいると、小島信夫の話が出てきた。これ
が面白く、小島信夫第三の新人の一人だったが年上で復員後は
長く英語教師をして定年まで務めていた(らしい受け売り)が、小説
も書き昭和27年「新潮」に「小銃」を発表したのが、ほぼデビュー
作。新人の集まりで、小島氏はいつも着古した背広を着て使い古した
カバンから、油染みの袋からカレーパンを出して食べ、どうですひとつ。
と言い吉行氏や安岡氏をびっくりさせていた。つまり貧乏ぽく見えた。
ところが、小島家へ行くと石柱の建つ立派な豪邸で「やられた」感で
おかしかったとある。ふーん、なかなか洒落というか役者だすなぁ。
第三の新人は当時、石原慎太郎の「太陽の季節」の出現で評価が低く
なって消えるとも言われていた。
そのころ、私は中学三年生でひねくれ者なので第三の新人の小説ばかり
読んでいたから、皆さん代表作は知ってたし読んでいた。特に淳さんの
小説を売ってる文庫は全部読んでいたが、今思うとなんであんなに好きで
あんな小説を読んでいたのか自分でも?と思うとこがある。今は無理かも。
私は百恵ちゃんと同学年で、女子高だったので同級生で第三の新人の本
を読みまくっても誰も話が合わない。新御三家郷ひろみ他の話題ばっかり。
なので、そんな事を言うと変わり者扱いされるだけなので言わなかった。
知人に小島信夫の全著作を集めている方がいるが、正直なとこどこが面白い
のか難解である。人そろぞれ好みが別れる。別れる理由が気になってないけど。
この年末に、しなければならない家事もおいて阪神古書ノ市へ行っていた。
古本市だけ見まくって本を買って他に何ひとつ買わずに帰る。