アラビアコーヒー

ようやく正月休みも終わり、七日に大阪はミナミの街を歩く。朝は少し雲があり冬日だった
けれど、なんとか雨も降らずに一日持った。正午には難波駅について、久しぶりに道頓堀から
歩いて千日前の水掛不動を通り、道具屋筋に入り天地書房が移転していたのを少し覗く。
吉本グランド花月の前のジュンク堂も入ったが、この辺は毎日がお祭りみたいな騒ぎだ。
震災直後の二年間、東大阪に避難で住んでいた頃は、月一でミナミに来ていたがこうして歩く
のは、それ以来かも知れない。しかし自分の足で歩いて見てると結構覚ええいるもんだねー
波屋書房も健在で、思わずうれしくて中で料理本を一冊買い、あのカバーをつけてもらった。
今日こうしてミナミを散策しているのは、午後4時からの松竹座である初春大歌舞伎へ行くの
で、はやめに出て本屋を見てまわっている。
千日前のウラになるのか、前から行きたかった「アラビア珈琲店」も入って念願のアラビアサンド
とブレンドコーヒーを注文して食べた。ここは、坂東三津五郎さんがひいきにしていた喫茶店で
三津五郎さんが亡くなった後に何度も紹介していたので行きたかったのだけど、去年は見つけられず
今日、やっと見つけたんだな。かなり古いお店で落ち着いていて、歌舞伎好きらしいお客さんも多い。
松竹座も五分も掛からない。小さな赤ちゃんが奥にいたのは店主のお子さんだろう、三津五郎さんは
赤ちゃんを見れなかったんだね。コーヒーおいしかったです。
初春大歌舞伎は、着物姿の正装の婦人が多く正月らしい雰囲気だった。片岡愛之助が悪役だが、大
奮闘していて汗びっしょりで舞台を飛びまわり見せていた。四時間以上の三幕の舞台なので休憩も
何度もある。歌舞伎は幕間にお寿司など弁当をうわっと食べてビール飲んだりの昔ながらの芝居気
があり、今の演劇ほど飲食禁止でなく楽しんでいる感じがある。昔は外で食べたり飲んだりするのが
楽しみで、特に女性は芝居見物に出かける時ぐらいは、おいしい物を食べて息抜きをしたい気持が
強かったのでは。
私も長い正月休みの間は、家事からあれこれ自由も利かず忙しかったので久しぶりの歌舞伎の舞台を
観にいくのは楽しみだった。大阪ミナミを散策できたし、いつも無駄が多く行きたいところへ半分も
行けないことを思えば、上出来だった。たまには良いこともあるんやねー