古本の雑誌

火曜は朝から雨で、寒いし早や初冬みたいだと思ったが今日は晴天。バイト先の古書店は二階でこの時期エアコンも止めて、先週まで暑くて半袖を着て仕事をしていた。しかしようやく長袖シャツを着ても暑くない。寒いのは暑いのよりはガマンできるので、これから気もラクだし。
その雨の日に、みどり文庫さんがフェルメール展をみた後に寄ってくれあれこれ新刊の方で捜している本をメモしたのを見ながら何冊も買い、バイトがあがる時間に一緒に出て風月堂でお茶を飲んであれこれ話しをした。みどり文庫さんが定年までいた仕事など興味深くきいたり、あっと言う間に時間が過ぎて、そのあと阪神とJRに別れて帰る。元町でバイトしてるとこんなこともできるんだねぇ。
一階の新刊の方で、「古本の雑誌」を見つけて購入した。やっぱこんな特集は買わないわけにはいかんだろ。岡崎さんの『上京する文学』も新刊平台に面陳されている。今までの古本の本とはまた感じが違うが、読みやすく古本通だけでなく広く読まれるのではないかと思う。村上春樹赤旗連載にはなく、追加したとある。私も春樹ファンなので芦屋から東京へ大学に行くために上京するところの文はよく覚えているし、文庫本だけ持って東京の寮についたら荷物は届いてなく何もない部屋で上京初日を迎えた心細い夜は、おそらく実話だろう。この寮は有名だけど早稲田の近くで『ノルウェイの森』に出てくる日の丸を掲げる寮。
おまけに補足しちゃうと村上さんは初め父の希望で京大を受けて落ち一浪し、また京大を受けて落ちたので早稲田に入った。もしも京大に合格していたら上京してないし、そうなれば作家になったかどうかもわからない。今やノーベル賞候補になる世界的に人気作家になるなんて、本人も予想しなかっただろね。
上京する文学のひとりに、私の好みで益田ミリさんがいる。「すーちゃん」で女子の共感度90パーセントぐらいとるマンガ家だ。大阪でOLをして36歳でなんのアテもなく仕事をやめて200万持ち上京した。益田ミリ『上京10年』エッセイに詳しい。なんとなく、高野文子るきさん」を思わせる雰囲気の、すーちゃんや他の書店員のマンガなど今や人気作家のひとり。東京へひとりで出てきて成功する人って才能は勿論だけど、運やいろいろまるでレールがあるように見えるのは、不思議だ。