バイトの達人

nae586252012-03-11

朝、急に新開地である演劇をみに行かねばならぬことになった、日曜日。マラソン野口みずきが怒涛のごとく追い上げ一時トップになり、奇蹟が起こるのかと思ったがそんなに甘くないらしい。終わる前に出て、二年ぶりかの新開地方面へ。
神戸で電車を降りて、どこか淀み気味の地下街へ入りメトロを歩けば、10年前とまるで変わっていないような古書街が地下道の半分に並んでいる。上崎書店から平台を見ていき、泉書店でエロDVDを買う男性が決まり悪そうに買うのを見ながら、並んで開演までの時間つぶしにと『バイトの達人』福武文庫を100円で買った。ここ冬はすごく寒く、夏はすごく暑い。地下道なのでエアコンが無いのだ。今日はマシ。卓球のカンコンと音をきき二年前でも昨日もちっとも変わってないような時間が止まったままのようなメトロを新開地で地上に出て、時間があるので歩いていたが立ち呑み屋ばかりにドヤがあり脇は連れ込みホテルとなんだかミニ西成みたいだ。その真ん中にアートビレッジセンターが場違い的に芸術色の旗をひらひらさせて、いかにもな若者がギターケースを持ってタバコを吸っている。そこからすぐ南に映画館があり向かいは、大衆演劇場だ。
どうしてここに、この劇場をつくったのかようわからんが、浮浪者がワンカップ酒を道で飲む風景の中でなんとなく、オレ等芸術してんだからね。と言ってるみたいなアートビレッジも街に溶け込んでいる感じすらする。ここで二時間ほど現代風演出の演劇をみる。知人の顔も数人見えるが、忙しそうだし終わるとまた歩いて、清盛とは関係ないらしいが同地名の福原のすごいネオンの前をさっさと通り、湊川神社の前から神戸駅へ。思わぬ清盛ツアーみたい。
家に帰る電車で『バイトの達人』をずっと読んだ、これが意外とあたりで作家がそれぞれバイト経験を短編にしているアンソロジー吉田健一の「乞食」や、宮本輝の「たこやきと夕刊」は流石、宮本輝の本領発揮みたいなのだ。福武はもうないし、これが100円ならたのしい古本買いだす。夜は、300円の豚肉をトンカツにし衣をつけて揚げたてをビールを飲みながら食べる。ささやかなぜい沢な夕食は、おいしかったな。
そうそう朝日新聞の書評欄に、田中美穂『私の小さな古本屋』がドーンと載っていた。一応、切り抜いておく。すごいなぁ