根津権現裏と大きなかぶ

nae586252011-07-06

時どき古本熱のよーなのが、かっと熱くなる気がする時があるけど久しぶりにそんな熱が出そうな日だった。
なんでか知らないが前に新潮で読んだ「寒灯」西村賢太を検索して、ここに来る人が多い。そういや単行本にもなったし一応手に取って読んだ。でも寒灯だけに関しての感想は初めと同じだす。はっきり言ってしまえば限りなく苦し紛れに書いた作品みたいに思える。今まで読んだので一番ひどい。私は一番好きなのは「墓前生活」だ。
しかし90年程も前に小部数出版され忘れられていた藤澤清造根津権現裏』が新潮文庫から出たのは、どうで西村賢太の力技だろな。執念とも言うんではないか。どうしても気になってしまい思わず電車に乗って買ってしまった。あと村上春樹『村上ラジオ2 大きなかぶ、むずかしいアボカド』を買った。わぉ新刊書を2冊も買った。これほど対照的な本も無いだろなぁ。まぁいいか。
根津権現裏』は古本ではかなり少なくて元は、大正11年に出版されたが部数不明、すぐ版元が倒産し70冊ほど藤澤自身が友人知人に贈呈したのがあるだけらしい。そりゃ無いわけだが大正15年に復刊されたのも余り見かけない。でも元の方を見たくなって普段滅多に電話しないのに某古本つながりの人に電話していて、いきなり「こんにちは」も無しで名前言ってから藤澤の根津ーと聞いたら相手もすぐ、ああはいはい。と答える。
用件のみ聞き出すのがなんとなく古本相手は多いのだ。思った通り相手さんは復刊版を持っていたが今は無い。とか。ついでに初版は50万、復刊で10万はする。と古書価を教えてくれ、ひえーっと思わず言うと、もっと高い古本はある。と珍しくもなさそうに言われた。もうひとり古本仲間さんに聞いたけど貧困集は持ってたけど欲しい人がいたので譲った。とだった。なんだか目の前まであってつかめない感じ。それですこし熱くなったんだな。「根津権現裏」は出版当時、当局の検閲から削除された箇所も多く、友人に献本したのには無削除本を送っている。それを西村賢太は当時、神保町などで極貧だったのに見つけると50万のくだんの初本の無削除本を四冊!買っている。単純計算しても200万以上だ。
それを小説のとおりだと彼女やその親に金を借りて買った。この文庫はおそらく資料代は最近の本では一番掛かってんじゃないだろか。ほとんど気○いの世界です。古書好きの人は多いが、なんだかちょっと違う人みたいだ。度を越しすぎてる。