なごり雪

寒いなぁと思えば、外は雪がふっている。雨の予報が寒くて雪になったらしい。なごり雪。
また冬用の上着を着て、なんだかウツな気分を歩いてまぎらわしていると駅前の路地を入った震災で家がつぶれて空き地に掘っ立て小屋が端に建っているおそらく玄関があったらしい場所に桜が咲いていた。品種はよくわからないが古木らしく主のいない地で可愛い花をつけていた。なんらかの理由で、ここは１６年前につぶれて家が建たず空き地に畑や花が植えてある。多分、持ち主が植えているのだろう、お金が無くて家を再建できないところは結構まだ残っている。ウチもそうだったけどね。今は高い家賃を払いマンション暮らしだが正直、狭い一戸建の家より住み心地は良い。そろそろ桜も咲きはじめる頃なんだ。福島には有名な桜の名所がある。原発の或る意味、おごりの代償のような事故や火災で被災している人は今年の桜は見られないかも知れない。私は震災の春の満開の桜を避難所の公園で見たが、こんなに桜がかなしく思えたことは無かった。早く平常になり生活できるようにと思う。とにかく原発事故が止まらないと。
今日は夜に自冶会の総会があり、いつも出ない時間に家をあけたが、家人が出る前に帰ってきて用意しかけていた鍋の材料が少ないと言いだし又、買物にいって豚肉や野菜、うどんをどかどか大量に入れた鍋を作ったが変な匂いと味がしてひとくちでウエッとなるものだった。ダシに何かしたらしく「不味い」とも言えず皆、無言でいやいや食べてもらい物の、いかなごの釘煮でご飯を食べていると自分はひとくちだけ汁を吸っただけで後で鍋を全部ぶちまけて流しに捨てていた。そりゃあんたが作ったんだけど、あの肉や材料をわざわざ買い足して作ってさ、自分は食べず捨てるなんてバチ当たりだし勿体ない。食べ物を粗末にしすぎる。と娘に言われていた。
これだから夕食を毎日、手づくりで私が作ることになる。仕事も夜まであるのは行けない。これってわがままなんだよ、おっさん。せめて自分も食ってから捨てろ。