生の貸本マンガ

満開だった桜も風に吹かれて散り散りに、今日は葉桜になってしまった。短いような長かったような桜の季節も終わりになっているのだな。前の続きじゃないけんど、気になると現物を見たくなり、元町へ出て目ぼしをつけて某古書店へ行き店主に貸本マンガある?と、いきなり聞いてみる。勿論、親しいのだが我ながらすごい聞き方だなぁと思う。しかし流石、古本屋のプロで「ある。」と手元からごそごそと何かを捜して、すっと一冊のビニールパックされたきれいな貸本マンガが目の前のカウンターに置かれて、内心少しびっくりした。
しかしまぁ、そんな素振りは見せずなんやら芝居みたいにやりとりしてビニールパックからブツを出してもらい手にとってじっくり貸本マンガ本を初めて読んだ。少女向けの1965年発行のマンガ雑誌で表紙と巻頭に、つげ義春のマンガがあるので値は高い。勿論つうか買えないけど、レア本を手にとって読ませてくれ貸本のはじまりから、マンガ作家の知らない話を教えてもらいお金を払わないといけないぐらいな気がしたな。まぁつながりもあるので1965年5月号「ガロ」を買う。「赤色エレジー」なんて、あがた森魚の歌は知ってるけどマンガは読んだことないし。面白いしなんせ濃い雑誌だ。最後に、売っている全国の書店が書いてあるのもらしい感じ。「本の雑誌」も始めから長い間、売っている書店を書いていた。どこにでも売ってないから、ここで買ってね。という意味なんだな。しかし、こんなにすぐ貸本の実物を読めるとは、なかなか神戸も捨てたもんじゃないよねぇ。
もひとつうれしかったことが、去年読んだ本ベスト1に勝手にしていた中村文則『スリ』(本当は漢字)が大江健三郎賞を授賞したこと。やっぱりね、オーケンは大した作家だ。