ソナタ

ソナタというと「冬のソナタ」と思われそうだけど、違うのだ。
ドイツ映画(2006年)「善き人のためのソナタ
東ドイツ社会主義による演劇界への圧力を描いてるのかと思ってたら、最後はなかなか意外な結末になっている。反社会主義者の疑いをかけられた若手の精鋭演出家の家に盗聴器を仕掛け、二十四時間盗聴する男が、盗聴からピアノ「善き人のソナタ」を聞き初めて芸術(音楽)の啓示を受ける。
ドイツ映画なので、全部ドイツ語で東独の当時の様子も或る程度よく伝わってくる。壁が崩壊するまで、東側で起きていたぞっとするような圧制をリアルではなく、ソフトに描いているのが広くみられているのだろう。ドイツというとナチの軍服のイメージや冷徹なロボットみたいな顔の男が拷問してたりするので、今まで苦手だった。現実は、も少しひどいかもと思うがソナタは聞き終わる頃には、冷たい男の心を優しく変えている。ドイツは今も東西の壁がなくなってからも、東側の人達は資本主義により生活が苦しくなっている人が多いとか。自由は押さえ込まれていた人達には余りにも慣れないものだった。
ふと隣国の北と南の壁がなくなったら、と思ったが恐くて想像できん。
善き人のためのソナタ」のピアノは確かに、一度きくと不思議に心に残る。映画では演出家が敬愛する自殺した演出家へソナタを捧げて弾いている、プロじゃないし上手いというほどでもないのだけど、忘れられないピアノになり残ってくる。腕じゃない、心でピアノをひいているんだよ。とソナタが言ってるみたいにね。このへんがなんつうかドイツと日本の違いだよな。