うれしい手紙

夜中に、すごい風が吹きその音で目がさめる。『風が強く吹いている』という小説があったけど、夜中に風の音を寝ながら聞いていると何故か子どもの頃に聞いた寒い風の音を思い出すんだね。
ようやく古本を見て歩き、本棚の前でじっくり本を捜していると落ち着いて来る。百均から本を抜いて、とにかく今読む本が欲しいので少し買う範囲を広げて数冊買う。レジでやや久しぶりに店主と立ち話しをしてたら、どんどん話題が出てなかなか帰れなくなる。古い先輩の古書店が今年だけでも何軒も廃業したことや、神戸大図書室で大量に盗まれた古書価の高い本が大阪の古書店で売られていたことで、そんだけの本持ち込んでおかしいと思わないワケがない。とか盗品とわかったら返すのかの話から、実話で高校生が万引したマンガを大量に持ってきて断ると逆切れして殴りあいになったことだの、今のお金に切羽詰まったのが売りに来るのでもめることはすごく多いらしい。そうだろねぇ、前は本物の元僧侶が他所の仏像を盗んで売ってたんだから。一番性質が悪いのは、全部わかってて値うちのある物を盗んでる中年かもね。今更怒られたって反省することもないだろうし。そんな話をして終わらない時に電話がかかってきたので、本を持って失礼する。もう外は薄暗い。今から、ちょっとビールでも飲みたいとこだけど血圧が高くなってからどうもビールを飲むとドキドキして夜、少し頭がぼうっとなる。お酒が血圧を上げてしまうらしい、一杯ぐらいなら良いだろけど一応やめておく。
家に帰ると、きれいな墨字の手紙が届いていて「彷書月刊」の田村冶芳さんからだった。少しびっくり。休刊になるので残念です。と言うことをハガキで書いたお返事だったが、便箋に何枚も墨字で書かれた文を読んでいるとなんだか泣きそうになった。これは大事に持っていよう。もう編集部にふらっと東京行った時に寄れなくなるんだね、いもやの天ぷらもまだ食べてないのに。