おすすめの本

しかし9月はバラエティに富んだというか、書けないことも含めて平年よりまるで違う月になったな。
それでも毎朝の散歩は続けて、いつものコーヒーも飲みに寄るのはささやかな私ひとりの時間の確保と、贅沢なんだが毎朝行くので顔見知りの客も多くなる。中で、いつもテーブル席でひとりで文庫本を読んでコーヒーを飲んでいる七十代後半ぐらいの男の人が、カウンタで新聞を読んでいる私のそばに来て読む本で、おすすめを教えてくれ。と言われる。最初は偶然となりの席で本を読んでいたので、つい何の本読んでるのかなと聞いたら藤沢周平の本で少しその話をしただけ。まぁこの喫茶店で毎日、年配の人で本を読む人はこの人しか居られないし(年いくと老眼で小さな字が見えないし)
一回しか聞かなかったのに、おすすめ本を教えてくれと本を読み終える頃に言われる。しかし読まれているのは時代小説で、私は時代小説は殆ど読まないから困るんだが、それで『蝉しぐれ』を最初すすめたら、次の日に買ってきて面白いと喜んで言う。その次にも言われ、困ったねぇと思いついて『あかね空』を教えた。これもすぐ買ってきて読んでいたが、一昨日にもう終わるから次の本教えてや。とメモを出して言うんだが、時代小説は思いつくのがない。読んでない本はすすめられないし、う〜ん。と時代物じゃないがその老人M氏に合いそうな気がしたので『プレオー8の夜明け』古山高麗雄を教えた。
一応、家で本を見たが今は講談社文芸文庫に入り前の講談社文庫はなくなっているらしい。これだと高いなぁと「少し高いかも」と一応言うと、「本買うぐらいの金は少しぐらい高くてもかまへんのや」と笑って言われたので少しホッ。後で店のママに聞くと、どこかの社長さんで今は引退して息子に継がせている悠々自適の人らしい。それなら良かったと思っていたが、翌日から姿を見せない。毎朝いつもいるので、はて?なんか本がまずかったかなぁ。とか思ってしまったり。人に本をすすめるのは、むずかしいのだ。明日はおるやろか。