心斎橋界隈

nae586252009-05-19

朝から爽やかな晴れ。いい加減、家で自粛するのも嫌気がさしてきた。でもまぁ三宮はやめて、大阪は心斎橋へ出ていく。マスクはつけているが、このマスクって歩いてると結構苦しいんだよ。地下鉄に乗り換える前に、萬字屋書店にふらっと入り古本をみた。ここは梅田の阪神百貨店の向かいの地下道にあるが、なかなか良い店で好きなところ。心斎橋では中尾書店も入った。
でも今日は、大丸南館の画廊である戸田勝久氏の個展に行くのが一番の目的で丁度期間中がインフルエンザパニックと重なり、人は出てこないし不運なことになった。しかしこぢんまりした展示室に、可愛い童話に出てくるような絵が並んでいるのは見ていて楽しいし、ひとつ掛け軸に古い布を使い日本画古代魚が泳いでいる絵は、じっくり見ていた。これは好きだな。と戸田さんと軸のこともお聞きする。その絵のしたに、置いてある箱入りの一見、あっさりした白の表紙の本が実は、一番見たかったもの。『書物の旅』水仁舎の本で、この出版社の本が見つけられず戸田さんから聞いて、一度手にとってみたかった本だった。
しかし、なんという贅沢で手作り感のある美しい本だろう。と紙のページ一枚に特別なものが伝わってくる。活版印刷の字もはっきりして書物に関わるエッセイが挿絵と一緒に気持よくページにおさまっている。こんな本を造る人がいたんだ、そして箱がまた美術品のように完璧にできている。すごいなぁ。しつこく感心して手に持っていたが、戸田さんはちっとも嫌そうにされず、にこにこと笑って相手をしてくれた。大島さんのような本の目利きに褒めていただいて嬉しい。と言われてこちらが恐縮するな。
これだけで大阪に出てきた値打ちは、十分あるがせっかくだしと中尾書店からブックオフ、地下鉄から梅田に戻り旭屋と回ると大して歩いてないのに疲れてきた。旭屋には、ここのフリぺがあり一枚もらう。「おすすめ本処かわら版」35号で、4ページミニサイズ、それぞれの階の書店員がおすすめ本を手書きで紹介していたり、こんなの前から置いてたっけ。しかし以前なら、この倍は動いてるのに疲れやすくなった。まぁインフルエンザまん延期になってんのに人ごみの中を歩きまわってはいけません。くそくらえだと思ってもね。梅田の古書のまちにある加藤京文堂が閉店したのを知って、あそこでは一番本が欲しいのが多かったし知らなかったので残念で仕方ない。「ブンブン堂のグレちゃん」のブンブン堂のモデルで、マンガの店主と加藤さんが余りにそっくりで本を包んでもらいながら笑いそうになって困ったのを覚えている。誰にも言わず、やめたそうだがそんなところも、ブンブン堂のおやじそっくり。良い店がなくなるのはさみしい。