白洲正子の目

nae586252009-02-02

二月になり春の兆しを感じるような晴れた朝、雨が続いた後でとても爽やかな日。
今日は大丸ミュージアムで開催中の「白洲次郎白洲正子」展のチケットを持っていたので見に行ったが、とにかく白洲正子の集めた骨董・古陶器のすばらしさに圧倒された一日だった。ただのどこかの社長が金にあかして集めたコレクションと次元の違う、審美眼と言うのかとにかく目利きの人なのを、ずらっと並んだ名品の数々に見惚れる。渋い統一された好みで揃えているが、これだけ良いものばかり集めていると世間に出るとイヤな思いをすることも多かっただろう。(悪趣味なものが多いし)晩年は孤独で若い頃を思えば、人相も鬼のように恐い感じに見えることもあった。白洲次郎は今更言うまでもない人で、芦屋生まれのお金持で海外留学し戦後直後は吉田茂の片腕になり敗戦日本の中で毅然と日本人である誇りを示した。本人が着た礼服や時計、手紙などがあり最後には遺書が展示されている。「葬式、戒名不用」と書いたとおり白洲正子はそのとおりにした。今の日本ではこんなご夫婦は居ないだろうな。しかし、ひとりがあれほどの骨董を集めたことに私は本当に腰が抜けた。
後日談で書くと、親しい小説家のひとりが白洲正子氏が亡くなった直後に遺族から茶器を買ってくれないかと頼まれて買われたのを知っている。税金を払うのに大変苦労して手離した名品も多いらしい。白洲家は名家だがお金持ではなくなっていた。
今日は、ちょい大人買いをしてしまい小皿とそば猪口、ガラスコップをポンポンと買った。陶器は中村幸一郎作(写真)三点で1万少し。計算してなかったので言われてわかる。ま、たまには良いさ。