尾崎一雄を読む

nae586252008-04-23

連休が近付いて来るけれど、別に海外へ行く予定もなくつうか何も特別な予定がない。しかし連休はある。家人は12連休で、土曜から休み。そんなに休みがあっても仕方ないし社員になってから仕事が家で基本できないので何日か休日出勤するとか。おおそうしてくれよ。しかし、連休なると差の大きさを感じるなぁ。すごく長い人と全然いつもより休みがない人がいる。これってやはりおかしい。
口笛文庫へ行った時に尾崎一雄の『ペンの散歩』を買ったのを読む。尾崎一雄は読みたいと前から思っていた作家。たしか蟲文庫の田中さんが好きな作家とか話した気がする。『暢気眼鏡』が代表作だが、初版は500部砂子屋書房から出たので芥川賞をとり、ベストセラーになった。再販にだけ親しい作家陣が書いた書評をまとめたパンフレットがついている。これ、高いだろなあったら。京都のゴッドハンド赤貧ソムリエ様あたり持ってるかもしんないな(笑)
尾崎一雄川崎長太郎と小田原の近所に住んでいて親しかった。白洲正子が思いたって川崎長太郎の家へ一升瓶を持って会いに突然行ったことがあり、留守でがっかりして帰ったことを後で、人前でひどくからかった。金持の身分の高い女が貧乏作家の暮らしを興味半分に覗きにきやがった云々と言われ、勿論そんな積もりはない当人は小林秀雄等にそう話したら逆にお前が悪いと言われ泣かされたこと。川崎長太郎はひどい陋屋住まいで貧乏だったし尾崎一雄も貧しい暮らしだったから誤解があったのだろう。後で白洲正子が書いたのを読んで、尾崎は着物の裾をはだけて飛んできて謝ったそうで、それも本の中で書かれている。生まれた時から貧乏な人と金持な人はいる。育ちや環境で書くものも違うのは当然で、貧乏暮らしが長いと金持を憎むのは世の常だ。今となれば、本に書かれたものを読むことで作家を知ることができない。尾崎一雄の文には貧乏臭さは感じない。幾ら貧しくても、それが文に貧しいばかりが出てしまうと読めなくなってしまう。それに私は川崎長太郎も嫌いじゃないし白洲正子の随筆には正直、舌を巻いているのだから。
口笛文庫には、積み上げていた本の中にほかにも欲しいのが沢山あった。もうすぐ四天王寺があるし、今年は東京の古本イベントにも本を出すからその為のだろうと思った。こんなに元気で売れてるのに、今でも「まだやってるんですか」とお客さんに言われるのだそうだ。ほんまにね。