カレーライス

日々なんとなく過ごしていると、あれまぁ。と思うような出会いがある。それもふっと思いだしたりした時に、ばったりその人と会うことがある。
お天気が良すぎる位の晴れに誘われるように、芦屋のさくら通りへ散歩して、いつもその通り沿いにある喫茶店でカツカレーを食べて春と夏の間を渡っていく緑色の風を見ていた。カレーは、辛口でカツも揚げたてのやわらかいトンカツでおいしくて、この店に来るとこれを注文する。他所でよく出るレトルトあっためたのじゃない、きちんと店で作っているカレー。
その後にアイスコーヒーを飲んで新聞を読んでいると、ふらっと入ってきたやせて頭がすこし薄くなっている男性を見て、数秒後に「あっ」と思った。Kさんだとわかるのに時間が掛かったのは、前見た時からすごく老けていたからだった。年は私の10歳上で、震災前後によく顔を合わして話をした人で、ふっとそういやKさんは、と思ったのは村上春樹の同級生だから。何度も言うみたいで気がひけそうだけど同じ芦屋の中学出身で、偶然その話を震災後に私とKさんの家の間あたりにある喫茶店でカウンターで隣合わせになった時に話が弾んで知ったのだ。その頃は、Kさんは大手の電気関係の会社員で働いていたので、店で会う時はネクタイ姿で夕方に何故かビールを飲んでいた。営業かなにかで結構自由だったのか、三日に一度ぐらいは夕方にはビールを飲んでたし、早い話がアル中に限りなく近い人らしく日が翳ってから、コーヒー飲んでる姿を見たことがない。まだ酒ばっかり飲んでるけど若さがあり女性にももてそうな声がしぶく人当たりも良い人だった。
それが、見違えるほど年老いた感じに変わっていてびっくりして何かいけないものを見た気がしたな。60前とは思えん、おじいさんみたいだった。それとも男性は60なると、がくっと老けるのだろか?(女もかな)向こうが気がついたのであいさつしたけどすぐ店を出た。前にしゃべったのは、村上春樹さんてどんな人だったんですか?とミーハーなのだったけど、特に目立つのでもなく変わったやっちゃ。とか話したな。Kさんは今は、仕事をやめて大きい親の代からの家が震災でつぶれた後に賃貸のアパートを建てて家賃収入でなんとか生活してるそうだ。それでも人から見れば金持に見えるだろね。10年一昔は、ほんまやねぇ。今頃は、どこかの店でビールを飲んでるんだろね。