象を洗う

nae586252008-04-15

「象を洗う」佐藤正午光文社文庫)を本屋の新刊台で見つけてパラパラと読むと、全部読みたくなった。心の中で、「いや、待てよこの本なら古本の単行本でちらちら見るから、うまくいきゃあ100円台であるよな・・・」と悲しい計算が頭に働き、その本屋が大阪・梅田の阪急そばの紀伊国屋で、連れが隣の銀行でお金を出しに行ってる間の時間待ちに手にとった本だった。う〜んと考えていると連れが来て「いくよ。」と声を掛けたので思わず本を戻して出てしまった。
今日は、大阪へまた用事で朝から出て用が済んでから、梅田阪急のビル街の最上階のレストランでハンバーグとアイスクリームとコーヒーのランチコースを食べた後に、すぐ並びにあるこの本屋でのこと。思わず私は本を置いてしまったが、一緒に来ていた娘にせがまれ『オタク学入門』とかを買わされた。すごいタイトルだねぇ。
ま、打ち明けたところ私は、佐藤正午さんの光文社の「本が好き!」に毎月連載している小説「身の上話」が割にはまって読んでいる。これは地方の書店に勤めていた独身の女性が、交際相手と別の東京からの営業マンを追っかけて、なんの考えなしに送りに行った勢いでついていってしまうのが、その前に大きな或ることがあり・・・とネタバレなってしまうので後は読んでみてくださいだけど、ここに宝くじが大きなキーワードで出てくる。それが、またつい気になるんだよね。
佐藤正午さんは53歳だと思うけど「象を洗う」の時は35歳と書いてある。現金な話で、当時の「すばる」の原稿料が一枚○円とはっきり書いてあって、へぇ。と思った。それ等とうで結局家に帰って着替えてから夕方にどうしても読みたくなって生協の中にある本屋で買ってしまう。最近こんなに欲しくなって新刊を買うのは久しぶりだ。なんとなく古本でもきっと見つける予感もするが、多分それも買うだろう。もひとつ言うと、今日はあれこれ支払いがあって財布の中がとてもサミシイ日だった。お金がない時ほど、本が買いたくなるのよね・・・
久しぶりに新刊文庫の真新しい紙の感触を手にページをめくり読んでいると、ずっと前に佐藤正午さんのデビュー作『永遠の1/2』を分厚い単行本で読んだ頃のことを思い出した。私は、まだ独身で小説より先に映画を観て佐世保の町で大竹しのぶ時任三郎演じる役所勤めをやめて競輪三昧でアパート暮らしをしている僕の行き方などを映画でみてから、小説を定価で買って読んだのが25年ほど前だった。なんとなくタイトルが良いな。と思ったり当時のボーイフレンドの部屋の本棚にこの本が差してあって、借りて読もうかと思っていた矢先に別れたり、当時はそれなりに今と違う生活をしていたんだなぁ。映画もよく観ていたな。