吉本せい女

今朝は、はじめて上着を脱いでカーディガンで外を歩く。春は静かに通り過ぎていくのだ。
部屋の次第に収集つかなくなってきた本を片付けながら、えらんだ堂用の本を探していると「女興行師 吉本せい矢野誠一ちくま文庫)が出てきた。パラパラ読んでみるとあら面白い、思わず全部読んでしまう。吉本せいは、吉本興業の創業者で最初は大阪のほんの小さな寄席小屋を主人吉本吉兵衛が持ち、客寄せに店頭で氷の上で転がせたラムネを売ったらうわっと売れた(これテレビでやってたな)り、商魂の或る人で、通天閣を大金払い買ったり、芸人を金で支配したりまぁ今でも言われている通りの人らしい。大阪は女の方が本当は強いの代表のようかも。その吉本せいに逆らった桂小春団冶の話が、なかなか面白いのだ。春団冶の愛弟子で人気も才能もあったが、吉本に落語家の扱いが悪いと出て行き東京へ出ても圧力にあい、春団冶の名も継げず落語をやめてしまう。今も同じか。せいの死後は弟が社長になり同じく大阪のお笑い界で君臨したが、先年亡くなった。これは、そんな吉本ができる前と後の貴重な資料にもなる。
ふっと気が付けばお昼過ぎ、慌てて、本を用意して伝票を作り、えらんだ堂へ自転車で走り、清算と補充をした。店長は池澤夏樹ファンで今度あるサイン会の知らせを一枚お渡しする。でも連休で仕事があり行けないと悔しそうだった。
外は、ぽかぽか良い天気、カーディガンだけでも寒くない。