まぼろしの大阪

春は名のみの風の・・・と古風な歌がぴったり合うような寒い日。梅も咲いたのに、今年は寒いなぁ。木曜にやっと髪の毛をカットする。雨が一日、ふったりやんだりで暗いね。その木曜にずっと読んでいる「ぴあ関西版」の連載、まぼろしの大阪で旭屋書店のことがあり、いろいろと思い出すことがあったなぁ。旭屋は大阪が本店で、東京にもあるが、二年ほど前からちょっと変ってる。梅田の本店も改装してから、きれいにはなったが棚がおもしろくなくなったし、一階の真ん中にあった小さな出版社やミニコミを集めた棚がいつの間にか、なくなってて楽しくない。上の文庫も前は、落ち着いて見れて捜す本が大抵あったのに今はなんだか売れ筋ばっかりで、どうなってんの。前はSさんて背の高い男性書店員さんがよく知ってて、いつもきれいに文庫を揃えてたのに、いつの間にか顔を見ないもんね。
その梅田の旭屋の話を、夜に電話で少し話してて思い出したのにもう一軒、別館が西側にあったこと。私は母方の実家が大阪で、厳密に言うと某所でプロフィールの〜年、芦屋生まれは、大阪生まれとも言う。まぁお産で実家近くの大阪ど真ん中の病院で生まれたからってだけだけんど。そのせいで、小学生の頃から弟と二人で電車乗って、おばあちゃんの家に行ったりしてた。この頃はほんと思い出すこともないけど、こんなので思い出すんだねぇ。ほんま、まぼろしの大阪だ。別館旭屋書店は一、二度しか行ったことないが阪神百貨店の脇のあたりにある、古い平屋風の本屋でなんとなく戦後のバラック風な雰囲気があった(多分、きちんとした木造だったんだろう)入ると木の床がぎしぎし鳴り、本が割りに雑っぽく沢山置いてあった。とても落ち着くものがあって良いなぁ、ここ。と思ったな。場所がわかりにくく、偶然見つけて入ったので又、行きたかったけど余り行けなかった。レジ(番台)に、紺絣に前掛けした番頭さんとか居たら似合うやろなぁ。襟に旭屋と白く抜いたりしてね。今また、あのカッコして本屋の日とか作ってフェアとかしたら、楽しいだろうにねぇ。
まぁ別館は、かなり前になくなったが本館も、今でも梅田に出ると寄る本屋だが最近は変ってしまっている。それは、まぼろしの大阪でも指摘していた。色々とお家事情がある。
昔のことで、思い出しついでに付けておくけど、大阪の本町には問屋(といや)街が、ぎょうさんあり、瀬戸物ばかり売る並びや、おもちゃばかり売る筋があって、そこへも母親について行かされた。入ると、古い店の奥に番台があり椅子じゃなく畳で座る台がある。大抵、因業(いんご)な商売してるおやじが座ってるんだが、大阪生まれで結婚するまで大阪にいた母親は、普段しゃべれないベタベタの大阪弁で、うれしそうに話して帰りに何か買って行く。私は、いつもヒマで退屈してたんだが外の路地で店の子どもが遊んでたりする。夏なんかだと、たらいに水張って行水してたりね。それで、帰るちょい前ぐらいに番頭さんが、半端物(はんぱもん)のおまけや、お菓子を持ってかえり。と愛想でくれたりした。お茶も出してくれたな。長屋みたいな、ずらずらっと隣とひっついた問屋さんが並んでたが今は、多分ビルなんやろうね。大阪の年寄りは、「そうだ」「さいだ」(そうです)と、語尾にだと付けて話すんだけど、これを聞くとなつかしい。やっぱ大阪生まれ?なせいかなぁ。