やけくそ天使

nae586252005-06-19

梅雨時特有の湿度の高い日が続き、どよ〜んと体も重い。更新しないといけない原稿がどうしても思い浮かばず、鬱々となるので余計うっとおしい気分で金曜はモトコーを歩いて古本めぐり。で、今日はその原稿朝一に仕上げて送ったあと「ブ」へ、ほいほいと行く。
吾妻ひでおの『失踪日記』が朝刊で漫画の賞をとったとあった、良かったねぇ。この本、漫画というより大きめの単行本で値段も、それ並なのだけどやけに大人の琴線に触れる。「ブ」を二週間ぶりなのもあり、足取りも軽く歩き回っていたら、漫画の棚で吾妻ひでおの『やけくそ天使』②(秋田書店)が一冊だけあった。今まで読んだことがなかったので、手に取り読んでみたが、この解説を読んで思わず感動してしまった。高千穂遥氏という人が解説を書いているんだが、ここにすでに作者が失踪癖があること。マンガを一時はやめて某ガス会社に入り、東英夫で「ガス屋のガス公」という機関紙内でマンガを描いていたこと、そして最後に又、解説を書かせて欲しい。と、その為にとっておきの話を暖めていると終わっていた。これを読んでいるうちに、私は思わず目頭が熱くなっていた。世間は多分、失踪のあれこれを面白がってるんだろうが、ここには一人のマンガ家を思いやる心情がしみじみと感じるものがある。お蔭で、すぐあとに昼食を食べに家族で車でショッピングセンターまで行く間も、泣きそうになって隠すのに困った。
この解説を読んだ、吾妻さんは多分、いやきっと泣いただろう。こんなファンがいることが、うらやましくなる。