ドトールの朝

nae586252017-06-15

今朝は、いつもと違い尼崎へ行く用事があって出かけていた。ここの駅で
降りたのは、十年以上ぶり。すっかり駅も北側の眺めも変わっている。
ゴミゴミとした雰囲気が消えて、再開発されたばかりらしい巨大なタワー
マンションがいくつも建っている。なんだか馴染めないなぁー
駅の改札を出て、すぐの陸橋を渡る入口に梅川の像が立っていた。近松
の心中に出てくる、文楽の人形をそのまま像にしたもの。尼崎に近松の墓
があるそうだ。
その渡り廊下のような陸橋沿いに、ドトールがあり入る。朝のドトール
がらんとしている。コーヒーとトーストを注文して、狭いテーブルと椅子
が並んでいる端の窓際に座ってトレーにのったコーヒーを飲んでトースト
を齧る。この手の店は新聞が無いので手持ち無沙汰になるね。反対側の
テーブルに帽子を被ったままの小太りな中年後期のおばさん二人が座り、
大きな声で何事かをしゃべっている。ちらと見ると口を開けてパンを食べ
ながらしゃべっているので、口の中が見えてぐちゃぐちゃと音がする。
どうして店の中でおばさんは帽子を脱がない人が多いんだろう、夏だと
黒いサンバイダ―をしたままの、おばさんも見かける。私は、あれが嫌い
だ。コーヒーをずるずると音をたてて飲む音も聞こえる。やれやれ
 父親が尼崎の会社で仕事していた昔、子どもの頃何度も尼崎の駅で降り
たことがある。街は煤けて灰色ぽかったし工場が多く、ドトールのあたり
はビール工場があった。黒っぽい塀が長く伸びてあったのを覚えているな。
ビール工場から出る臭いがした。東へ歩くと、真っ黒な川があり水面から
ボコボコとガスが泡になっている、どぶ川があった。
その頃は公害問題より、経済成長優先だったのだ。でも今の街もなんだか
馴染めない。普通の喫茶店が見当たらない。よそいきの顔をしているみたい。