遊鬼

nae586252012-07-23

白洲正子『遊鬼』新潮文庫を古書で買って読んだら面白くて、あっと言う間に読んでしまう。白洲正子さんは1998年に亡くなっている、ので14年前で平成10年。この本は亡くなった年に刊行されたんだね。さらっとした文章になんとも品があり、最近の本にはない文の中の粋のようなのがある。よく生まれ育ちのよさが言われて夫の白洲次郎の奥さまで上流婦人の憧れみたいな言われ方をする時があるが、貧乏文士だって同じように良いと思えば、韋駄天走りで追っかける人のようで気取った人は嫌いだったんじゃないかな。と思う。晩年のお写真は心労も多かったのか病気もされなんだかそれこそ幽鬼のような感じがある。
この本の中で洲之内徹の追悼を随筆に書いていて、現代画廊でいろいろな絵描きや作家やまたその卵が夜中ずっと集まりわいわいしゃべっていたこと等を書いているが、洲之内徹を今で一番の目利と認めていて、白洲正子は本物を見る目は確かで骨董の一番の目利き、洲之内は絵の本物を見る一番の目利きだった。こんな二人に見られたら、どんな自信家も作ったものを見せるのに勇気がいるだろうなぁ
私は洲之内徹が集めた絵で、なんだか気になって本物を見てみたい。と思った絵は、中村ツネの自画像の絵だ。くやしそうに唇を噛んでいるような自分の姿を描いていた、ツネはどんな心だったんだろうか。